今日はその中でも神回と語られる【トンカツ慕情】について想いを馳せてみたいと思う。
今回のお話の筋書きはこうだ。
とある貧乏だった男が、ビジネスを経て大成功し、大金持ちとなる。
その金で、貧乏だった時にトンカツをご馳走してくれたトンカツ屋の店主を探し出し、恩返しをする…という至ってシンプルな筋書きだ。
では、なぜこんな一件ありふれた物語が神回
として多くのファンのあいだで語り継がれているのだろうか。
筆者は、その秘密はシナリオの絶妙な台詞回し、言葉選びにあると感じた。
とくに印象深いシーンを挙げるなら、こうだ。
今回のお話の主役、貧乏な若者がお金がなく途方に暮れている時、親切なトンカツ屋の主人が若者を店に招き入れ、自慢のトンカツ定食をご馳走する。
若者はドン底の状態で優しく差し出されたトンカツ定食を心底感激しながら頬張る。
そこでトンカツ屋の主人はこう語るのだ。
「いいかい、トンカツをなぁ、トンカツをいつでも食えるようになりなよ。それが人間えらすぎもしない、貧乏すぎもしない、ちょうどいいくらいってとこなんだ」
このセリフの表情の豊かさがおわかりいただけるだろうか?
今がつらく、この先行きが見えない不安のなかで貧乏から抜け出そうと懸命な若者に、あえてえらくなりすぎない方がいい。と諭している所が最高にカッコいいのだ。
しかも「トンカツを好きな時に食える」という 例えがまた絶妙で、トンカツ定食を美味い美味いと食べながら聞く話としてはこれ以上ないくらい具体的でイメージが湧きやすいアドバイスだ。
更に、このお話は放送から30年経った今でも通じる、現代の私たちが見ても違和感のない例え話となっている。
なぜなら、令和となった今、日本の若者は相変わらず貧乏で、とんかつといえば相変わらず庶民の間で【ちょっとした贅沢】として食卓にのぼるメニューであり続けているからだ。
そんな【トンカツの地位】が変わっていないことも、この回が時代を超えて未だに多くのファンを増やし続けていることに貢献していると考える。
物語の男性程ではないが、若い頃から苦労の連続だった筆者には涙無しでは観られない回となっている。
まだ観たことがないという方は、配信サービスやアベマTVなどで定期的に再放送があるのでぜひそちらをチェックしてみてほしい。
きっと【トンカツ大王】のトンカツが食べたくなる事だろう。
あまき
コメントをお書きください